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超高齢化と核家族〜準備しておくこととは〜

第1回 進む社会情勢の変化 (2011.6.2 常陽新聞掲載)

2000年4月、今からちょうど10年前に介護保険制度と成年後見制度が導入されました。この2つの制度は高齢化や核家族化社会に対応するべく両輪としてスタートをしました。それでは、高齢化はどのようなスピードで進んでいるのでしょうか。ちょうどこの2つの制度がスタートする10年前(バブル崩壊の頃)日本在住の70歳以上の高齢者は表のとおり979万人でした。その10年後である2000年には70歳以上の高齢者は511万人増えて1,490万人と1.5倍以上も膨れ上がりました。

このように高齢者が急激に増えはじめた背景もあり、高齢化社会への準備が一段と進みはじめたわけです。しかし、高齢者が増えるスピードは衰えることなく15年後の2025年まで増加が進みます。(これまでの10年同様にこれからの10年でも70歳以上が10年で600万人以上増える予想)1990年と比較すると2025年には70歳以上の高齢者が3倍以上に増えることになります。

また高齢者が増える一方で2000年頃から20〜59歳の働き盛りの世代(消費の最も多い世代)が減りはじめています。20〜59歳の世代人口が減りはじめたわけですから景気が衰えるのも当然です。しかも20〜59歳の世代人口が今後減り続けるわけですから景気がますます悪化することも予想されます。70歳以上の高齢者が爆発的に増え続け、本来それを支えなければならない20〜59歳の世代人口が減少することから支える世代の負担は増加の一途を辿っていきます。

このような時代背景もあるからか、現在の30代男性の未婚率は47%、30代女性の未婚率は32%となっており、親と10年以上同居していない方もとても多くなっています。こうした点を考慮すると子どもがいない方もおりますが、子どもには頼れない、または頼りできない高齢者が増えはじめている事実にうなずけます。

また昨今、無縁(孤立)社会という言葉を耳にします。この無縁(孤立)とはどのような状態のことなのでしょうか。私は3つの重要なご縁がなくなってしまった場合に無縁(孤立)状態であると考えています。1つは血縁です。親族が誰もいなくなってしまった状態です。2つ目は、職縁です。これは仕事や趣味などから関わりがなくなってしまった状態です。そして最後に、地縁です。地縁とは地域との関わりです。この3つのご縁がなくなってしまうと無縁(孤立)状態になってしまうのです。だからこそご縁を大事にしなければなりません。

現在、高齢化にともなって職縁がなくなってしまう状態の方もおります。そして血縁者がいなかったり家族や親族との関わりがない状態になった場合には、地縁の方に関わっていただくケースがあります。しかし、この地縁の方が一番欲しい情報が血縁関係です。この血縁関係を調べたくても現在、個人情報保護法の点から調査することが大変困難です。従来、身元保証人は血縁者が引き受けます。しかし、血縁者がいない場合に地縁関係の方が病院や施設などから身元保証人求められてお困りになるケースが少なくありません。

それではなぜ病院や施設などは身元保証人が求められるのでしょうか。詳しくは『第2回 身元保証人を求める理由へ』でご説明をいたします。

西 暦 20〜59歳 70歳以上
1990年 6,915万人 979万人
1995年 7,113万人 1,186万人
2000年 7,100万人 1,490万人
2005年 6,898万人 1,824万人
2010年 6,523万人 2,119万人
2015年 6,243万人 2,417万人
2020年 6,073万人 2,781万人
2025年 5,840万人 2,932万人
2030年 5,487万人 2,934万人

1990年〜2005年 国勢調査
2010年〜2030年 国立社会保障・人口問題研究所 中位推計(2006年改訂後)



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